私たちが毎週末、グラウンドで夢中になって追いかけているソフトボール。白球を全力で追いかけ、仲間と声を掛け合い、一本のヒットに全員で歓喜する。その時間は、何にも代えがたい最高のひとときです。
しかし、北都シニア・ファミリーリーグが目指す「ハートフルソフトボール」の本当の価値は、スコアボードの数字や勝敗の先にあるのではないでしょうか。
メジャーリーグの歴史に永遠にその名を刻む、伝説の名手ロベルト・クレメンテ選手。彼は首位打者を4度獲得し、3,000本安打を達成した大スターでありながら、同時に「球界の聖人」と呼ばれました。
それはなぜか。彼はシーズンオフになるたび、貧しい子どもたちのためにバットを捨てて物資を配ったり、相次いで故郷を襲った大型ハリケーンの被災に際し巨額の財政支援や物資提供などをしてきました。
1972年12月23日にニカラグアで大地震が発生した際、彼は自ら救援物資を集め、物資が被災者に直接届くようにと、大晦日の夜にチャーター機に同乗して現地へ向かいました。しかし、その飛行機が離陸直後にカリブ海に墜落する悲劇的な航空事故に見舞われ、38歳という若さで帰らぬ人となりました。彼の遺体は今も発見されていません。
彼は生前、こんな言葉を残しています。
「この世に生を受けながら、他人のために尽くさなければ、それは時間を無駄にしているのと同じだ」
クレメンテ選手にとって、野球とはただの競技ではなく、「誰かを幸せにするための力」でした。彼がグラウンドで見せた異次元のプレーと、被災地で見せた命がけの行動は、地続きの一本の道だったのです。
私たちが掲げる「ハートフル」の精神もまた、同じ場所を目指しています。
ソフトボールという素晴らしいスポーツは、私たちにたくさんの「力」を与えてくれます。健康な体、仲間との固い絆、困難に立ち向かう心。しかし、それを「自分のため」だけで終わらせてしまってはもったいない。
グラウンドで見せる最高の笑顔とチームワークを、一歩グランドの外に出たとき、困っている誰かや、私たちの地域社会へ向けてみませんか。小さなゴミを拾うこと、誰かに優しく手を差し伸べること、誰かの笑顔のために自分ができる行動を起こすこと。その一つひとつが、私たちが目指すクメレンテ選手の精神であり、「ハートフル」の具現化です。
「ソフトボールが上手い人」だけでなく、「誰かのために動ける、あたたかい心を持った人」へ。
北都シニアリーグから、現代のクレメンテのような、優しさと実行力を兼ね備えた人が一人でも多く育っていくことを願っています。私たちの白球には、誰かの明日を照らす、ハートフルな力が宿っているのですから。